最近ヴイアライヴが面白い、あるいはヴイアライヴは今までのアイマスと比べてどのような新しい体験を我々に与えてくれるか #ヴイアラ

皆さんはヴイアライヴをご存じだろうか。

去年発表されたPROJECT IM@Sの3.0VISON、そのMORE RE@LITYプロジェクトの一角として始まった企画で、 アイドル候補生が1年の期間を区切り、月ごとに出される課題に挑戦しながらアイドルデビューを目指す過程をYouTubeで配信するというものである。

まあアイマスナイズされたVTuber1と言われれば概ねその通りである。
例によってイメージカラーが赤青黄の3名、それぞれアイマスの信号機と言われて思い浮かぶような要素を持ちつつ、そこから少しだけ外しているのも最近のアイマスのいつも通りである。

ヴイアライヴはアイマスの中でどのような位置づけか

前述のMORE RE@LITYプロジェクトが、アイマスを現実の日常に偏在させる、アイマスという虚構と我々が生きる現実の間の境界線を溶かすための施策あるいは標語であるというのはわざわざこんな文章を読んでいる方なら一目瞭然あるいは既にご存じかもしれない。

そしてヴイアライヴはその一角であるために、ヴイアライヴの候補生はアイドルマスターの作品世界に存在しているという立場をとる。
すなわち、アイマスの作品世界に存在しない語を彼女たちは基本的に使わない。
わかりやすい例として、ミリオンライブ、SideM、シャイニーカラーズという語は765プロ ミリオンスターズ、315プロダクション、283プロダクションと言い換える。
765プロ オールスターズはそのまま用い、シンデレラガールズについてはいろいろな立場があるからか、具体的個人名にのみ言及し、346プロともシンデレラガールズとも聞いた記憶がない2
(9/25 09:30追記)宇宙がAC6配信で読んでいるのでおそらくセーフとの補足をいただいた。

一方でヴイアライヴの候補生たちは現実に存在する我々ともコミュニケーションをとる。
毎月の課題配信のMCである土佐兄弟のお二人や、毎月のゲスト講師ともコミュニケーションをとる。
ただし、アイドルマスターの声優陣とはコミュニケーションをとっていない
より正確には、アイドルマスターのアイドルには中の人などいない、という立場をとっているように見える3

アイマス18周年記念ニコ生のときは自分たちを宣伝告知するビデオ出演のみだったし、アイマスチャンネルでAPかっしーと同時視聴したのはいわゆるいつものアイマスライブではなく、ミリオンスターズが3Dモデルとして出演するDreamin' Grooveだった。

このあたりは、かつてのTHE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC GROOVEについて、中村さんや今井さんがTwitterにおいて「春香の、千早のライブを観てきた」という形で言及していたのが思い出される。

また、東京ゲームショウにおいても、甜花、透、果穂の三人とコミュニケーションを直接、同じ世界に存在するものとしてとる姿が見られた4

一方で、ヴイアライヴの候補生たちは現実世界に存在するので誕生日に年をとる。とった。
7/1に愛夏が16→17歳に、9/12に宇宙が16→17歳になった。
レトラはいま19歳で11/11に誕生日を迎えるわけだが、そうすると20歳になるはずで、アイマス史上初めて、飲酒可能年齢の境界を超える人物ということになる。

ヴイアライヴは今までのアイマスと比べてどのような新しい体験を我々に与えてくれるか

ヴイアライヴでは候補生が月ごとに出される課題に挑戦するというのは冒頭に述べたが、その課題の出題もアイドルが課題に挑戦した結果のパフォーマンスの発表も、YouTubeのヴイアライヴ公式チャンネルで行われる。
また、出された課題に対して候補生が練習したり、発表するパフォーマンスの方針を考えたりすることそれ自体も、それぞれの候補生のチャンネル上で行われる。

その時、配信ではまとめてプロデューサーと呼ばれるプレイヤーたち5は配信へのコメントという形でそれに影響を与えられるわけである。
配信のコメント欄はファン的なものからプロデューサー面(づら)なものまで様々な6コメントから成り、候補生はそこからコメントを拾ったりしながら、課題に挑戦していく。それは単なるVTuberの配信ではなく、アイドルマスターの舞台設定を使った即興劇といったほうが相応しい。

つまり、今までのアイマスが先に書かれた脚本に則って展開していたのに対して、ヴイアライヴでは毎月の課題という形で大枠の方向性は示されつつも、そこで何をするかといった具体的な展開は候補生とプレイヤーが配信やTwitterでの交流を通して共犯的に作りあげていく。 この、プレイヤーからの干渉に対して反応が返ってくるまでの時間の短さ、フィードバックループの小ささは今までのアイマスにはなかったものだ。

もっとも、VTuberにおいて活動していくうちに当初のキャラ設定から大幅にズレたキャラ立ちをするというのは枚挙にいとまがないためVTuberという方面から見ると微妙に思えるかもしれないが、アバターを被った配信者といった趣になりつつある先行するVTuberの皆様よりはキャラ設定を強く守り、一方でアイマスとしてはプレイヤーへのフィードバックループを小さくする、というのがヴイアライヴが我々に対して与えてくれる、先行するVTuberの皆様やこれまでのアイマスと異なる体験、ということになる。

今から追いつくなら何を観ればいいか、あるいはアイマス他シリーズの副読本としてのヴイアライヴ

ヴイアライヴを見たことがないアイマス好きな人が何を見るとよいか、というとヴイアライヴを追っている大半の人の間で同意が取れると思うが、ボーカルをテーマに、ゲスト講師がバンダイナムコスタジオの渡辺量さん、課題内容が渡辺量さん作詞作曲の楽曲の中から候補生が課題曲を1曲選んで歌う7月回だろう。

これに関連する配信を時系列順に並べると下記のようになる。

愛夏 宇宙 レトラ
【Official Lesson】アイドル育成プロジェクト vα-liv 7月前編【特別講師:渡辺量 さん】 - YouTube
【ボーカルレッスン】愛夏にピッタリの曲、一緒に選んでくださいっ! - YouTube 【ボーカルレッスン】さあ、どっちを歌いましょう #ヴイアラ - YouTube 【アイマス曲】Twilight Skyかアマテラスのどっちかを歌いたい! - YouTube
【アイマス】渡辺量先生と楽園をやっぴーします!!【ヴイアラ/灯里愛夏】 - YouTube 【アイマス】渡辺量先生とTwilight Skyの特訓!!【ヴイアラ/上水流宇宙】 - YouTube 【アイマス】純真無垢に見えるけど・・・歌います!コラボゲスト:渡辺量先生【ヴイアラ/レトラ】 - YouTube
【緊急特番】ヴイアラにサウンドP中川浩二が登場!!候補生の歌をガチ評価!?【#ヴイアラ】 - YouTube
【Official Lesson】アイドル育成プロジェクト vα-liv 7月度後編【特別講師:渡辺量 さん】 - YouTube

このように、前述した通り、どの曲を歌うかという段階からプレイヤーは干渉できたのだ。
結果として愛夏が関裕美の楽園、宇宙とレトラが多田李衣菜のTwilight Skyを選んだ。

そして渡辺量さんからそれぞれが公開レッスンを受けた。
このそれぞれの1時間枠(オープニングとクロージングがあるので実際には40分程度だが)のなかで顕著に歌い方に成長が見られるのはアイマス他シリーズの副読本として非常に興味深い。

そして宇宙とレトラは同じ曲を選びつつも声質と歌い方の癖に沿った歌唱をそれぞれ指導される。
二人の同曲対決がどうなるのか、そして「関ちゃん先輩」の歌う楽園についての想いをたびたびこぼしていた愛夏の歌う楽園は…

その結果がどうなったかは後編をご覧いただきたい。

そして上水流宇宙について

さて、ここまでヴイアライヴ全体について話してきたが、僕個人の話に移ると、僕が今いちばん目に留めているのはこの節の題にもなっている通り上水流宇宙である。

簡単な紹介として今までのアイマスのいわゆる3属性でのマッピングを羅列すると、

Da Co Fa インテリ

うーん、ど直球に青!!まあそりゃ僕が気にならないはずがない。
こちとら担当のパーソナルカラーがほぼ全員青から緑の色域に収まっている7人間である。

ちなみに愛夏はVi Cu Pr フィジカル8、レトラはVo Pa Fa メンタル9だと思っている。異論は聞く。

さて話を戻してこの上水流宇宙、基本的には賢い。
文章は読めるし、MC回しもできるし、ゲームもコツさえつかんでしまえば上手にこなす。
それでいてゲームで遊んでいる最中のリアクションが面白いのは少々意外な、しかし間違いなく良いところ。

【Only Up!】初見プレイ!だけど落下するたびに〇〇します! - YouTube

【アーマード・コア6】世界が注目!?話題の新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』に宇宙が挑む! - YouTube
【アーマード・コア6】壁越えに、挑みます!【ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON】 - YouTube
【アーマード・コア6】打倒!バルテウス!!chapter1をクリアします!【ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON】 - YouTube

一方で賢いがゆえに、「好きなことと得意なことは違うんじゃないか」とか「歌っている最中に考えすぎてしまってリズムに遅れる」といったような話が本人から出てくるあたり、本当にCoでFaだなぁ、と思う。

そんなような感じで物事の関係性を捉えたり、筋道だてて説明するのが得意な宇宙なのだが、そんな宇宙に僕は一つ夢見ていることがある。
それが、「出発点と着地点を定め、全ての構成要素がその着地点へ向けて展開され収束していくパフォーマンス」。

これは完全に僕個人の好みの話だが、一度広げた風呂敷が唯一の結論に向けて収束していく物語構造が僕は好きだ。
一度広がった風呂敷が、なるべくして一点の結論に収束していく説得力、爽快感、カタルシスが生む感動の力を僕は信じている。

どのようなコンセプトのイベントで、主な客層がどんな人たちで、パフォーマンスを見たあとに観客たちにどうなってほしいか、そこに向けて展開も雰囲気も意図をもって配置していく。
そのためには単に頭がいいだけではなく、どうしたいか、何をしたいかという意志、思想が必要だ。

もちろん今すぐやってほしい、と言っているわけではなく、経験を積んでいった先にきっとできるのではないかと、夢として見ているのだ。

…といったような話、プレイヤーの思想、夢を直接に伝える手段がヴイアライヴにはある。

先日2回目が開催された1on1だ。

もちろん、普通のVTuberに対する1on1のように楽しくお話してもよい。楽しいのだからそれを否定する権利は誰にもない。

しかし僕はだいぶ入れ込んでしまったのと、初回には参加しそびれたため今回が初めての1on1で緊張しすぎたのもあり、ちょっと思想が溢れすぎてしまった。
実際の表現としてはもう少し宇宙さんの長所について言及し褒める方向が多かった…はず。緊張のあまり体感あっという間すぎて記憶が怪しいが。

次回があるならもう少し情報密度を減らしていくらか楽しくお話のほうに振りたいと思っているが、それはそれとして、ヴイアライヴにプロデューサー面のプレイヤーとして参加するなら1on1をそのような使い方もできる。

そしてヴイアライヴにプロデューサー面のプレイヤーとして参加していると、月ごとの課題に直接は関係ない普段の配信ですら、単なるいち視聴者として楽しみつつ、その一方でプロデューサー面して色々考えながら聴くようになってくる。なった。

そして各候補生のYouTubeメンバーシップ限定配信もまた、表とはまた少し違う雰囲気になる。 詳しくは書けないので実際に見ていただくしかないが、宇宙の場合、普段見ている"営業コミュ"とはもしかしてこっちのほうなのでは?という気分になる。

まあなんだかんだ長く書いてきたが、ヴイアライヴを単なるVTuberとして楽しんでもよい。
詳しくは知らないけどおおまかにどんな子、くらいは知ってるアイマスの他シリーズ、としてそこはかとない親近感を持つ、くらいでも当然よい。
全く知らない、でも仕方ない。僕がこの面白さを伝えきれていないのが悪い。
でも、ここまでに述べたような楽しみ方をすると、視点が多層的になって楽しいですよ。沼だけど。

ヴイアライヴ9月回、10分間フリーパフォーマンス

話が前後するが、ヴイアライヴの9月回は5~8月の4ヶ月間活動してきた結果の総合力、ということで中川さん、高山さん、JUNGOさんをゲスト講師に10分間のフリーパフォーマンスが課題となっている。

愛夏 宇宙 レトラ
【Official Lesson】アイドル育成プロジェクト vα-liv 9月前編【特別講師:JUNGOさん/中川浩二さん/高山祐介さん】 - YouTube
【自己分析】活動折り返し!発表に向けて愛夏のことを愛夏が真剣に考えてみた - YouTube 【自己分析】私の武器ってなんだろう?発表に向けてマインドマップで真の宇宙を徹底探求! - YouTube 【MBTI診断】人気の性格診断で本当の自分を見つけよう!! - YouTube
【Official Lesson】アイドル育成プロジェクト vα-liv 9月後編【特別講師:JUNGOさん/中川浩二さん/高山祐介さん/天海春香さん】 - YouTube

結果披露となる9月回後編はまさに今日、9/25の20時から配信される。
特別審査員として春香が出演する。ここでもやはり候補生とコミュニケーションをとるのはアイドルのほうだ。
おそらくこの記事を読んでいるほとんどのかたはもう配信後の時空なことだろう。
これを書いている僕は当然まだ見ていない。

前述の通りの夢を宇宙に見ている人間としては、宇宙がこの10分にどのような意志を込めたか、愛夏宇宙レトラがそれぞれどのようなパフォーマンスを披露するか、楽しみで仕方ない。

最後に

エンターテインメントを提供するなら、享受した僕にどうなってほしいかという意志、思想を持ってそれを見せてくれ、というのは僕は別に宇宙さんだけに突然言い始めたわけではなくアイマス全体について思っていることで、
その点では9月回前編で高山さんが言っていた「いくらでも娯楽が溢れているこの時代、誰かから反感を買ったとしてもそれ以上に別の誰かに深く印象残るようなものがいい10」という話に大いに共感するわけです。
ので、もはやアイマスに関しては新しい取り組みをすれば基本的に高評価から始まるんですよね。最終的に成功するか失敗するかはまた別の話として、何かを始めたということは惰性でなく何か意志を持ったということなので。

まあ候補生が1年の期限を迎えて、いざめでたくアイドルデビューすることになりました、となったとき、その先にどのような展開があるのか、影も形も大枠すら示されていないのが不安なところではありますが、こういうのは最先端を走り抜けて全力で享受するのが一番楽しいって決まっている(僕の思想)。 踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損、俺がやらねば誰がやる。

ヴイアライヴ、面白いですよ。遊び始めるなら今が一番早い。
そんなわけで、ヴイアライヴ、見てみませんか。


  1. 同時期に始まったラブライブの蓮ノ空女学院と比べるとリアルタイムで進行するコト消費という点は共通しつつ相違点もあって興味深いのだが今回は省略する
  2. 本当に全てを見れているわけではないのでもしかしたらどこかで言っているかもしれない 僕個人としてはAKB48のようにマネジメント事務所としては複数に分散しつつシンデレラガールズという名称の団体として活動しているという解釈のもとシンデレラガールズを総称として使っている
  3. つまり、○○役と言いさえしなければ、アイドルマスターに出演している声優さんであっても、認識し言及することそのものは矛盾しない。
  4. おそらく大枠として台本や台詞集的なものが用意されていてそこから適時選んでいると思われる甜花、透、果穂と比べ、愛夏、宇宙、レトラは本人が本人なので会話の反応や話題の多彩さという点で大きく差があり、そこは課題かなと思った
  5. プロデューサーがたくさんいる、とかプロデューサーって何、とかそういうのはもはや今更の話なので適当に折り合いをつけていただいて
  6. 僕は96%くらいプロデューサー面
  7. 秋月律子、荒木比奈、黛冬優子、上条春菜、久川颯、三峰結華、そして唯一、少し外れたところに鷹富士茄子さん
  8. 先日のTGSではついに「ヴイアラの筋肉担当」と自己紹介してしまったし
  9. 百々人がメンタルなんだからレトラもたぶんメンタル
  10. それが行き過ぎたのが5thで、折り合いを見事につけたのが我儘なままだと思う